sappalenia’s blog

無責任な戯言です

草の花を読みました。

草の花 福永武彦 著

 

 著者は池澤夏樹の父にあたり、昔の東大出。その作家としての地位を確立した作品が本作。と、wikiに載っていた。

 孤独と愛に関する文章が多く、理想と現実のすれ違いも全体を通して感じられた。主人公の自身への誠実さと、それを見せられて悲哀を蒙る自身の親愛なる人、というジレンマな構造で、そこからくるもどかしさに悩んだり、その狭隘な空間を無視して進もうとしたり、心の中の揺れ動きが描かれていた。潔癖で、理想の愛を追求し続けたが為に、近しい人が別れて離れていく悲しみ、あるのは自分の信条だけ、という感覚を受けた。

 比喩や描写が綺麗で、そこに理想性やら愛やら孤独やらを含んだ流麗な文章が続き、叙情的だと思った。

 良かったので、またいつか読むかもしれない。