sappalenia’s blog

無責任な戯言です

よりもい視聴してます

 dアニで、宇宙よりも遠い場所を視聴中。現在三話まで観た。以下、感想。

 話の大筋は、母が南極観測隊だった女子高生がその影響で南極へ行くことにこだわり、1人準備を進めていたのが始まりで、そこに高校でなんかしたかった人と大学受験前になんかしたかった人と友達が欲しかった人とがうまい感じに出会い、共に4人で南極へ行こう! といった具合。

 全体的にテンポが速く、とんとん拍子に話が進んでいくので飽きがこない。しかし、女子高生達が明るいので、一気見すると少し疲れた。いい子しかいないのでストレスは感じないし、そして話も矢継ぎ早に進展してゆくので観やすい。一応4人目の子は三話で暗い過去が回想で流されるが、それもとりわけ鬱々とした演出ではなく、話の説明としての挿入という印象。

 三話まで観てみて、総じて掻いつまみと思える程、速さを感じる。また音楽が爽やかで、キャラクターはコミカルかつ朗らか、二話の歌舞伎町疾走シーンなんかも主人公に心を語らせているくらいだし、青春というものの断章として形象づけようというねらいが感じられ、つまるところ青春とは躍動していて、情動に任せられて、今この瞬間なんだという感じなんだろう。と、思うのはキャラクター全員が今のところ回顧的な側面を見せないからかもしれない。過去が語られるキャラクターは二、三いるが、その過去は現在につながる動機的な側面で語られており、よくある現在のイカリとしての過去ではなく、現在のエンジンとしての過去となっている為、加速的でストレスを感じさせないのだろう。よって、この三話までの娯楽的な要因は、この目まぐるしく変化する状況の連続刺激と、そこに青春という名の輝かしく水々しい印象を与えるエッセンスそしてキャラそのものが女子高生という未だ若々しさを備える人間らにその物語の紡ぎ手としての役割を与えることで、長い人生の隙間にスッと入り込む快夢としての効果を与えている。つまり現実逃避というやつだが、これが一つの娯楽的要因として機能しているように感じられた。これは三話までを俯瞰的に見ての印象で、一話一話における場面場面を見れば、キャラクターのコミカルで大仰なアクションが適度に挿入され、無味乾燥的な日常劇にならないよう配慮されていそうだ。そしてそれは弾む日々の連なりとしての印象を与える。

 なんというか、青春シーンの切り貼りで作られたミュージックビデオみたいだと思う。それ程の抽象性と印象性に基づく画面が連続していて、それらで以って南極へ向かうという一連の流れを表現している。ただ、ミュージックビデオと異なるのは、あちらが割と感覚一辺倒な感じなのに対し、こちらは状況説明のシーケンシャルかつ離散的な場面転換なので、感じ浸るというよりかは次々と頬張る感じだ。それはそのシーケンシャルな場面転換が私には速く感じられるので、一つの状況に懇ろになるゆとりがなく、ある一つのシーンは私を勝手に楽しませ、そしてすぐにあっちへ行ってしまう。そんなやるせなさだろう。つまり別に言うことでもないが、この手の演出が好みでない。こんなことを言い出すと、現代の効率化への動きにも結びつけたくなってしまうので、この話は早々に切り上げることとする。

 ところで、三話で初登場する女子高生はひどく特徴的で現代的な独り言を言うが、あれは長らく友達を持たなかったことや母親とのすれ違いによる逃避先としてネットをよく使用したということだろうか。はたまた、芸能人の為に俗語に通常よりも馴染みがあったということだろうか。そうでなければ、他の三人に比較して大人しめの彼女を特徴づけるための方策とも考えられそうだ。またそこには、地味目な彼女の方が存外、若者言葉を使うという衒いがあったとも邪推できる。なにせ、あれは少しおや? と違和感があった。単純に流行りなのかもしれないが。

 総括すると、三話視聴時点でこのアニメは展開が速く、葛藤描写が無く、明るくコミカルだ。説明は伝わりやすく、場面場面の切り替えもスムーズに流れて一種リニアとも言うべき感触だ。視聴時点では楽しめているが、はたしてこのままストレス無しに展開に展開を重ねて詰め込まれると、私の扁桃体が覚えているかは今のところ知る由もない。個人的には、南極へ行くというアポリア的な目標に挑む過程での艱難辛苦やらジレンマやら欲求不満やら接近-回避反応から接近-接近反応への昇華の過程等、そういった紆余曲折を経た上に生じる昇華のラストが観たいのだが、今のところあまりに和気あいあいとしているのであんまりそういった大河的な人間ドラマは期待せずに観るのが無難そうだ。ただ、気の良い人達と共通の目標に向かうというのは、これが青春の一形態かもしれないが、やはり見ていて調和を感じるので癒し的な効果はある。要は、青春の夢という癒しを望むか、人文的な描写に因るキャラクターの内面を追体験したいかの違いなのだろう。そしてこの二極で捉えれば、本アニメは前者に適しているように思う。

 最近の印象では、この傾向は他でもよく感じる。また、特に感じられるのは、最も難しそうな見知らぬ他者への信頼というものが、ふたりが出会った瞬間、パルス波なみにオンするところだろうか。とすれば、やはりここがストレス有無の大きな一因なのだろうとも感じる。そして、現実と乖離しているだとか騒がれやすいのは確かにな、とも思う。心の声を率直に記せば、よりもいを観ていた時「秒で抱きついたな」だとか「一瞬で過去語ってくれたな」だとか考えた。現実に照らせば信頼度マックスでかなりの知性派かはたまた阿呆しかこういう態度はとらないと思うが、この二極に対し、それを普通の女の子として描写されるキャラクターが行う為に違和感を生じさせているのだと思う。

 と、言うわけで、心労なく観られそうなので最後まで観ると思います。久々に横顔の口があらぬ所に移動していない絵な気がするのも嬉しいし、最後どう決着するか気になるので。あと二話の女の子が可愛い。