sappalenia’s blog

無責任な戯言です

霧雨の夢

木造のコテージのような部屋から外に出ると、上には屋根があり、下にはコンクリート、周囲には雨が降っていた。6月ごろの雨、細かい水滴が辺りを白く霞ませる。私は傍にあった自転車をひいて、屋根の下と外の際まで行った。ザーッという音だけが響き、草木は静かにだが激しい雨により鮮やかな緑色がぼんやりしている。いつになれば雨は止むだろうか。いつの間にか、背後では私と同じように雨宿りをする人たちが居た。しばらくして、雨の向こうから黒い影が段々と人の形になると、旧友がこちらに走って来ていることが分かった。やがて屋根下まで来ると、私の後ろから若い女の人が前へと出てきた。旧友の妹だった。旧友は私に右手を上げて見せると、私もそれに右手で返した。「おう、それじゃあな」私の発した言葉が音となって雨の中へと消えて行く。旧友は、そして妹は、まだ強く地面を打ち続ける雨のさなかを走って行った。兄は右手へ、その妹は左手の方へと、走れば走るほどに二人の間は遠くなり、その色や形も曖昧になり最後にはまた白い雨の幕がそこに広がっている。やがて雨も引くことを直覚した私は自転車のハンドルを握る手を強めた。すると間もなく、屋根越しに見る空が青く明るくなり始め、雨はピタリと止んでいた。途端、私は勢いよく屋根の下を出ると、雨に濡れた地面が私の足の動きとともに水音を立てた。後ろからは、同じように地面の上を歩く人があちらへこちらへと雨水を押し出して何処かへか向かう、そんな音がする。急がなければ。この雨はまたすぐにでも降り始める。そう思った。

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今日、自分の住んでるところでは霧雨が降りまして、何だか夢と親和性を感じて気分が昂揚しました。霧雨は晴天よりも静寂が際立つ気がして、好きな天気です。辺りが静かに霧雨に濡れる中、道行く人は何事の思いを抱いて歩いているのか、その心は霧の中に隠されたような気がして、なんというか物事に妖しさが増すような気がします。霧越しに見る景色は、それがいつもより何かを内包しているような気分がして、神秘性が強まる気がします。単純に、霧雨がレアだからかも知れないですね-.-